あの日

小保方さんが手記を出しました。私はまだ未読のため、内容は議論しません。かつて小保方さんはSTAP細胞の発見を報告し、大きな注目を浴びます。しかし、STAP細胞論文と博士論文の画像の類似、実験の再現性がとれないこと、博士論文の剽窃などが明らかになります。その結果、方々から激しい批判を浴びた小保方さんは、研究者を辞める結果となります。

私は小保方さんが、STAP細胞について意図的な嘘をついたとは思いません。また小保方さんを集中批判する空気の存在も理解します。しかし今回の手記出版なる行為は、明らかに間違いです。

科学者でない一般市民にとっても、2冊の実験ノート、博士論文における剽窃など、小保方さん自身のミスは明らかです。手記を書く前に博士論文を提出し、学位を再取得すべきでした(1)。また実験の再現性がとれないならば、いくつかの仮説を立て、その原因を説明するべきでした。

手記で真実を伝える方法は、科学の専門知識がない人の”情”に訴えるように見えます。非意図的にしろ、彼女が虚偽の論文を発表した責任は存在します。科学者として、他の科学者にも自分を認めさせる行為が必要です。STAP細胞は間違い、あるいは、彼女が正しい、という2つの結論に可能性がありました。これは科学的に実証される一般的な結論で、観察者ごとに真実は変わりません。

 

(1)2015年10月13日に博士号取り消し