舞台【皆既食】を思い出して

舞台と皆既食

芸能人に会うには、ライブや握手会に応募するのが一般的ですが、私は舞台を観に行くのが好きです。小さい頃WOWOWで【ハムレット(1)】という戯曲を観てから、本のジャンルも戯曲が好きになりました。

大学で上京し、様々な舞台が身近に観覧できるようになりました。特に好きだったのは、【皆既食(2)】です。フランスの詩人ランボーヴェルレーヌのお話です。2人の男性が互いに寄り添い合い、その結果、破滅に向かいます。

台詞

印象に残っているランボーの言葉があります。ヴェルレーヌに対する「僕は…あんたが好きだよ、もちろん。一緒にいて楽しいと思うこともあったし、それに…あんたは僕を愛してる?」という台詞です。自分を必要とする人が、自分にとっても必要な存在に成り得ると感じました。

インターネットで皆既食を検索すると、現代の言葉(BL等)で表現された感想があります。このような言葉には、どことなく軽さを感じます。キリスト教上の罪や時代特有の苦しさが薄れてしまい、言葉の選び方に違和感を感じました。

岡田将生

もう一つ、岡田将生さんの舞台上での姿に魅了されました。私はそれまで、彼の出演作品を2本も映画館で見たにも関わらず、いずれも彼の存在に気付きませんでした。しかし今回の舞台では、ランボーの美しさや、素直さと皮肉が混在した台詞の言い回しに、すっかり夢中になりました。いくつかの印象的な台詞は、未だに音及び声として覚えています。

皆既食の他にも【地獄のオルフェウス(3)】【ヴェニスの商人(4)】などを観ました。いずれも観た後の不思議な気持ちは、心地よく、堪らないものです。ただ俳優個人として惚れたのは、今の所、岡田将生さんだけです。一度シェイクスピアの”喜劇”なども演じてみて欲しいです。

 

(1)ハムレット 2003年,演出:蜷川幸雄、原作:ウィリアム・シェイクスピア、出演:藤原竜也鈴木杏

(2)皆既食 2014年,演出:蜷川幸雄,原作:クリストファー・ハンプトン,出演:岡田将生生瀬勝久

(3)地獄のオルフェウス 2015年,演出:フィリップ・ブリーン,原作:テネシー・ウィリアムズ,出演:大竹しのぶ三浦春馬

(4)ヴェニスの商人 2007年,演出:グレゴリー・ドーラン,原作:ウィリアム・シェイクスピア,出演:市村正親西岡徳馬寺島しのぶ